自立支援介護とは?自立支援で給与も上がる?【教えて!山口議員】

業務支援
2022/01/31

介護職のためになる話、今回のテーマは「自立支援」

本記事は、介護職のためのYouTubeチャンネル「ケアきょう」の動画で特筆すべき部分を文字に起こしたものになります。

解説メンバー

お笑いコンビ「魂ず」の小橋川さん、参議院議員兼理学療法士兼介護支援専門員の山口和之さん、特別養護老人ホーム勤務の古畑さん、ケアきょうを運営しているカイゴメディア社の代表向笠の4人で解説していきます。

【自立支援】介護の現場ではどう捉えられている?

小橋川
小橋川
さあ始まりました、ケアきょうチャンネル。今回こちらの番組のMCをさせていただきます、『魂ず』の小橋川です。よろしくお願いします。
そして今回もこちらの方々に来てもらっております。自己紹介をよろしくお願いします。
山口
山口
参議院議員、理学療法士、介護支援専門員、山口和之です。よろしくお願いします。
小橋川
小橋川
お願いします!そして!
古畑
古畑
特別養護老人ホームで相談員をしている古畑です。バタちゃんと呼んでください。よろしくお願いします。
小橋川
小橋川
バタちゃん、よろしくお願いします。そして!
向笠
向笠
カイゴメディア代表の向笠です。よろしくお願いします。
小橋川
小橋川
お願いします。この番組は介護に関してもっと身近に感じてもらい、さらに介護職に就いている方にも介護に関する情報をわかりやすく発信する、そういう番組となっております。
このチャンネルでは、皆さんが「こんな情報欲しかった!」といった、介護のためになる話、介ためになる話を随時お伝えしていけたらなと思っております。よろしくお願いします。

小橋川
小橋川
今回話すテーマは「自立支援」。
どうですか?僕、理学療法士の資格を取ってまして、今も老人ホームでバイトしてるんですけど、やっぱり時間の観点からですね、結構介助してしまってることが多いなあと感じてるんですけど、その辺ってやっぱり難しい部分で、どうですかバタちゃん、実際現場で働いてて。
古畑
古畑
そうですね。時間をかければご本人でできることでも職員が介助してしまって、今おっしゃってましたけど、そのほうがスピーディーに行えるっていうことで、実際に自立支援ができているかなっていうのは時々自分でも不安になることはあります。
小橋川
小橋川
介護の現場でも不安は抱えながらやってるっていうことですよね。どうですか社長。
向笠
向笠
現場の介護職の人とやりとりさせて頂いてると、「そもそも自立支援っていう言葉は何を指してるのか?」「一応理解はしているけど、そんなに興味がないぞ」って方もかなりいらっしゃると思ってまして。なんで大事なんだ?みたいなところはぜひお伺いできたらと思います。

自立支援の基本は「こうしたい」「ああしたい」を増やし自分で選択できる状態を増やすこと

小橋川
小橋川
どうですか、山口先生が考える自立支援と言いますか。
山口
山口
自分で選択できる、例えばこれがいいとか、こうしたいとかああしたい。
これ、まずは大事な一つの自立支援で、その手段として何を使おうが、それが実現すれば自立支援なんだけど、できれば介護の力を減らしていく、少なくしていく、あるいは将来介護が必要となるものを遅らせていく。本当に介護が必要な人達に対して集中する、こういうことを行っていくことが自立支援につながってくるし、財政面としても非常に助かる。
少ない費用でその方々が豊かな人生を送るためには、自立できる方々には自立して頂いて、悪化しなくても済む方には、悪化しないで欲しい。
小橋川
小橋川
はい。
山口
山口
例えば、なんとか伝え歩きでトイレに行けてる人がショートステイで施設に入ったら車椅子に座るわけです。
車椅子っていうのはご存知のように、寝ているのと同じぐらいの運動量。ほとんど何も運動してない状態で、1日中座ってるんです。その状態がずっと続いていたらあっという間に歩けなくなるでしょ。
小橋川
小橋川
そうですね。
山口
山口
もしこれをしっかりとした介護の人たちがやると、例えば、トイレの何メートルか前、伝え歩きと同じぐらいの距離をトイレに入るために一緒に行きましょう、という話になれば、自分の足で立って歩けば(身体機能が)落ちない。

山口
山口
これは要介護状態区分別の状態像を出しているんですけれども、例えば要支援1の人はだんだん起き上がりができなくなってきて、片足立ちができなくなってきて、歩行ができなくなってきて、寝返りができなくなってきて、座位が保持できなくなってきて、状態がどんどん悪化していくんですけど、起き上がる機会、歩行の機会がないんですよ。
小橋川
小橋川
なるほど。
山口
山口
整容は施設の方がやってくれちゃって、ご本人はこうやって座ってるだけ。その(動く)チャンスは一切ないし、手を上げるチャンスはないわけですね。それ全部やってあげてる介護っていうのは本当に危険な話なんですね。
なるべくならご自分でやって頂いて、それを介助するというのがすごい大事なこと。
本当に必要な方に対して、プロの介護の方がそこに携わるようにしていくと素晴らしい施設になっていくんだと思います。
ただし、ただやらされてるのは絶対無理です。これは無理なんです。
本当に自分が楽しんでそこに行く、それをしたいと思う、それに参加したいと思う、そういうふうにならないと同じことなんです。
小橋川
小橋川
そういう働きかけができるっていうのが介護のプロとして……。
山口
山口
プロですし、『場の設定』ってよく作業療法士が使ったりするんですけども、場の設定ができるということはすごい大事なことです。

入所後、48%の方の要介護度が改善した介護施設もある!

向笠
向笠
感覚的には、要介護状態維持はなんとなく分かるんですけど、改善って本当にあるの?みたいな。
山口
山口
(身体機能が)落ちなくてもいい人が落ちている場合は、要はずっとベッドにいたとして、まだゴールデンタイムで戻せる可能性がある方は……。
小橋川
小橋川
改善の余地が。
山口
山口
改善の余地がある人たちは沢山いるんですよ。よく聞くのは、「あの施設に行ったら元気になった」っていう施設があったりしますよね。
一方で、ご飯を食べたらすぐベッドに行っちゃうとか、入れ歯外してすぐ寝ちゃうとかっていう施設では、どんどん機能が落ちてしまいます。

山口
山口
黄色いところが入所時の介護状態で、次の介護保険の改定、要介護状態の申請の時にどう変わったかっていうものなんですけど、要介護5の8名の方が、4になった方が2名、3になった方が1名ということになります。
それから要介護4の方が全部で25名いるんですけど、そのうち4のままだった方が5名、3に改善した方が9名、2に改善した方が5名、1に改善した方が4名。これ特養です。
小橋川
小橋川
あー!すごいですね。
山口
山口
リハビリテーションの専門施設ではないんです。特養です。
特養にはプロの介護士がいるし、理学療法士、作業療法士も若干います、言語聴覚士とかいますけども、リハセンターでもなんでもないんですけども、介護の中でこれだけ変わっていくんです。その改善率が48%ということになります。

山口
山口
こちら87歳で、要介護5で、特養に入って来られた方です。胃ろうを増設して寝たきり状態で入られたんですけども、結局食事は常食になって歩行器で歩いていて、排せつは全てトイレで。
これ施設もすごいかもしれないけれど、ここまで(機能が)落ちてきたことが大問題なんです。
小橋川
小橋川
これ、毎日リハビリが出来る病院ではないと?
山口
山口
ないです。
日頃しっかり座って口腔ケアをして、排泄はトイレでするようにして食事もちゃんとして、柔らかいものばっかり食べてるわけじゃなくてしっかり支援して、ケアです。
古畑
古畑
うーん。
山口
山口
リハも、理学療法士作業療法士言語聴覚士もちょっと関わりますけども、回復期リハ病棟とは同じように関われないですよ。介護です。

山口
山口
これの例をちょっと見て頂けると、これは開設から半年後の成果なんですけれど、一番下の『歩く機会あり』っていうところ見て頂けると、歩く機会が53.9%ぐらいしかなかったんですよ。
約半分くらいの人に歩く機会がありました。半年後には80%の方々に歩く機会があった。そうしたらどうなったかというと便失禁はほぼない。
向笠
向笠
へえ。
山口
山口
おむつの中で便をする人はいなくなったっていうことです。行動してるだけで随分違う。

通所介護で支援度や介護度が改善しても社会保障費が浮くわけじゃない!?

山口
山口
こちらの資料は、通所介護のものです。
短時間の通所介護なんですけど、緑のところが改善したところ、赤が悪化したところ、斜めに黒で走ってるところが変化のないところですけれど。例えば要介護5の方の改善率、41名いらっしゃった内の改善者は23名です。
これ全て5千例ですね、全国の介護を提供しているところで、平成25年から27年までの間に5千名の方にお世話になったんですが、この改善率でどれだけ社会保障費が浮いた……って言うとちょっと失礼ですけど、社会保障費が消費されなくて済んだかっていうと……。
向笠
向笠
他にお金が行ったってことですね。
山口
山口
ええ。計算上では13億円
小橋川
小橋川
うわっ。
向笠
向笠
へえ。
山口
山口
基本的に介護でやってますんで、これを介護職の方々のほうに持って行けたら凄いことになりますよ。
小橋川
小橋川
給料がアップする?
山口
山口
日本中でこれができたら、社会保障に対する感覚が随分変わってくるんです。
今まではどうしてもお世話の介護が多すぎちゃって、介護をプロパーしていくことによって、以前にも話しましたけど、これで大きく変わってきます。

自立支援介護に必要なこととは?

向笠
向笠
ちなみに、ご紹介いただいたその施設さんって何か特殊なことをしてらっしゃるんですか?
山口
山口
基本的には何がしたいか。一番は「どんなことをしたいですか?」と。
最初は無理です。できなくなってきているところで「何がしたい?」と言われても無理だとしか思わないんですけども、だんだん体が動いてきたりすると変わってきます。
向笠
向笠
いろんなことを、よりしたくなってきてっていう。
山口
山口
自分もなんか少し元気になってきたな、じゃあ結婚式に出たいなとか、あるいはこういうことしてみたいなとか、買い物に行きたいんだとかっていう話になってきたり。
それは在宅の人たちだってもう一度こういう家での生活をこうしたいああしたいっていうのが出てくるんですね。
最初から出てくるのは難しいので、最初車椅子で横になって、こんなになってる状態のときに「あなた何したいですか?」って言っても。
小橋川
小橋川
まあまあ、そうですよね。
山口
山口
少しずつ元気になってきたときに「なんか自分にもいろんな可能性が出てくるな」。
これが個別ケアになってきて、ケアマネの技になってくるんですけど、ケアマネージャーがその人のニーズとか、ニーズっていうのはその人の希望だけではないですよね。こういうことをしていくことによって随分変わってくるっていうのをちゃんと把握して、一人一人のプログラムを作るっていう。
考えてみたらこれだけ改善するっていうことはこれだけ放置されてたってことです。
小橋川
小橋川
そうですよね。
山口
山口
すごいんだけれど、問題はこれだけ放置されている人がいるっていうこと。
小橋川
小橋川
実際、もっとできるはずなのにっていうところは、やっぱり日本中で。
古畑
古畑
うーん

自立支援によって介護度が改善すると介護報酬が下がるって本当?

向笠
向笠
よく、自立支援とかで介護度改善すると、報酬下がっちゃうよね、みたいな。
山口
山口
基本的には下がる。下がるんです。
だって、ずっと入所していれば本来であれば要介護4ぐらいのお金が入ってくるのが、改善しちゃえばそりゃ減ってしまいますよね。
ただ問題なのは、なかなか区分変更をしないんですね、改善しても。
小橋川
小橋川
なるほど。
山口
山口
悪化すると区分変更するんですけど、良くなって区分変更する方は少ない。使える額が少なくなるから。
でもそこにインセンティブをしっかりつけていくことで世の中がガラッと変わる。大きな仕掛けに。
向笠
向笠
そうですね。そういうことですよね。
小橋川
小橋川
目先のお金じゃなく、その浮いたお金が給料として入ってくる。
山口
山口
そうです。そうすると価値が上がってくる。
小橋川
小橋川
全てがうまく転がっていくという。
さあこれからもですね、いろんな介護のためになる話、介ためな情報を皆様にもお伝えしていきたいと思いますので、ぜひチャンネル登録よろしくお願いします。
ではまた次の動画でまた会いましょう!

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